世界に100年遅れる日本のアニマルウェルネスと解決策
国際NGOが算出する世界動物保護指数によると、日本は5/7ランクと先進国の中では最下位レベルだ。日本を動物愛護後進国に押し下げる要因と解決策について考えたい。
◎アニマルウェルフェアとは?
日本では「動物福祉」と翻訳される。動物を感受性ある生き物と捉え尊重し、苦痛やストレスが少ない飼育方法を目指す考え方だ。動物の健康と福祉には強い関係性がある。すなわち、アニマルウェルフェアの実現は、人間の倫理的責任であると同時に、生産性と食の安全にもつながる。動物の命を粗末にあつかうことは倫理違反であり、人間にもしわ寄せが生じる。
◎アニマルウェルフェアに貢献する「5つの自由」
人間と同じく、動物にも命がある。アニマルウェルフェアを考える上で役立つのが、「5つの自由」というコンセプトだ。1960年代の英国で提唱されたもので、日本の「動物の保護及び管理に関する法律」第2条にも明記される。そこから、動物を扱うときの基本的な心構えを集約したものが「5つの自由」である。
- 飢え・乾き・栄養扶養からの自由
- 恐怖・抑圧からの自由
- 不快からの自由
- 痛み・障害・病気からの自由
- 本来の行動がとれる自由
これらは動物福祉を考える上で、重要なガイドラインとなる。
◎後手に回る日本のアニマルウェルフェア事情
日本国内に目を移すと、畜産(牛や豚、鶏)の非人道的扱い、犬猫の殺処分や闇処分、不幸な動物を生むペットショップ問題…と枚挙にいとまがない。日本では動物に関する法令も少なく、動物の福祉を向上させる基盤が未整備である。
◎動物福祉先進国の取り組みとは?
例えば、EU屈指の動物福祉先進国として知られるスイスでは、すべての犬にマイクロチップの埋め込み・登録が義務付けられている。大きな苦痛を伴わず、終生にわたる履歴が得られるメリットによるもだの。
また、うさぎやインコなど社会性を持つ動物は「つがい(雌と雄)」での飼育が法律で義務化される。1匹で暮らす猫には、家の出入りが自由にできるための猫用窓やはしごを設置する飼い主も少なくない。こうした法律レベルで、アニマルの尊厳を守る事例は世界でも数少ない。
◎消費者の意識が世の中を変える
消費者にはアニマルウェルフェアを変える力がある。動物の暮らし心地やメンタルウェルネスへの配慮、命あるものへの尊厳に欠く商品やサービスを利用しないなど、関わり方は多種多様だ。明日からさっそく行動してみてはいかがだろう。
【動物福祉に貢献するアクションプラン例】
- エシカルファッションを選ぶ(ビーガンレザー、アニマルフリー素材etc)
- クルエルティフリーの化粧品・日用品を手にする(動物実験をしないetc)
- 植物性ミルクへのシフト(大豆、オーツ、アーモンド、ライスetc)
- 週に一回、ノーミートor代替肉を食べる(大豆ミートや豆腐etc)
- ペットはブリーダー経由で探す
- ケージフリ(放し飼い)の卵や肉を選ぶ
- 保護猫の里親になる(ボランティアに参加する)
- 動物福祉に取り組む団体・企業の支援(寄付や署名活動へ参加)
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